まるでペットのような彼
「お姉さん、かなり酔ってたもんね。お店でふらついてるから、外まで俺がエスコートしたんだよ。その時にこの名刺をくれたんだ。
俺が、住むとこがなくなるから探してるんだって、言ったら、『私に任せなさい』ってお姉さん言ってたから、この名刺を頼りにきちゃったんだよね。」


「……」

えっ?私…そんなことこの子に言ってたの?



「ま、郁美さん。まず上着脱いで座って落ち着こうよ。」

彼に言われて、私は、玄関に立ちすくんだままだったことに気がつく。

すでにリビングのソファーに彼は、座っている。


とりあえず、上着を脱いでキッチンに向かう。


「お茶でも淹れるわ。紅茶でよい?」


「うん」


「ミルクや砂糖は?」


「ストレート」


まず、話しを聞くために彼にも紅茶を淹れた。



「はい、どうぞ。」

「いただきます。」

目の前に座るイケメン。
なんだか、私の部屋に不似合いだわ。

「この紅茶、おいしい。」

「そう?ところで、君は、いくつなの?」

「郁美さん。君じゃなくて悠って呼んでよ。」

そう言って、少し拗ねた素振りをするから、言い直す。
「悠くんは、いくつなの?」

「俺、21歳。」


わ…若い…
若いとは、思ってたけど…

「で、ホストは、バイト?昼間は、なにかしてるの?」

「昼間は、大学に行ってるよ。」

「私の名刺持ってるのは、わかったけど…
なんで家のきたの?」

「お店でも、説明したんだけどな~」

「ごめんね。記憶が曖昧だから、もう一度聞いておきたいんだ。」







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