まるでペットのような彼
こんな朝早くに、宅配かな?
なんて思ってたんだけど…

悠が、玄関を開けたら…





「ハル~」

聞き覚えどころか、昨夜聞いた甘い声。

「なっ…マユ…」
悠が、ビックリしてる様子が声からもわかる。

「ハル、おはよ。入ってよい?」
えっ?なに言ってるんだ?
マユと聞いた私は、眠そうだった目が醒めていた。


「いいわけないだろ?」
悠の声が冷たい。

「なんでよ~」

「プライベートに入ってくるな。だいたい、なんでマユがここを知っているんだ?」

「…えへ?」
あ、マユさん誤魔化そうとしてるみたい。

「そんな態度で誤魔化されないぞ。教えた覚えもないのに、押し掛けられても迷惑だ。」
悠の言い方、ホント迷惑そうだ。

「…だって」
あっ、マユさん泣きだしたっぽい。

「俺に泣き落としは、通用しないから、帰ってくれる?」
悠は、相変わらず。

「…ここに誰かいるんでしょ?」
マユさんの声が冷たい感じに変わった。

「マユに関係ないだろ?」

「ハル、変わったよ。この何ヵ月かで…他の女の子とも遊びに行ったりしてないのは、うれしいけど…
誰とも行かないなんておかしいよ。
引っ越してから、変なんじゃない?」

「なんで…マユが引っ越したとか知っているんだ?
俺…誰にも家を教えてないはずなんだけど…」

「えっ?それは…」
マユさんが言い淀んでいる。

「こういうのストーカー行為って言うんだよ。」

「そんな…私…ハルが好きで…」

「好きなら、なにしてもよいわけじゃないんだ。
それに、俺、悪いけど気持ちに応えられないから。」

「…ここにいる人のせいね。」

「そういうの関係ないんだよ。マユに対してそう思えないんだ。悪い、近所迷惑にもなるし、帰ってくれる?」

「ハル…ひどい…
私、諦めないから」

吐き捨てるような言葉と共に、マユさんの気配がなくなった。









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