まるでペットのような彼
「あの…うちって一部屋しかないし…」


「かまわないですよ。」


「だって、寝るとこだって…」


「一緒のベッドでよいですよ。」


「…っ?」
私が絶句してると…

「大型犬がいると思ってください。なにもしませんよ。」


悠が顔を近寄せて、妖艶な微笑みをみせる。

私の顔が赤くなる。

「郁美さんが、望むならサービスしますけどね。
あ、郁美さん。ノーブラなんですね。」

耳に口を寄せて、そう言うと、私の耳たぶを噛んだ。

「……っ!!!」

今更ながら、自分がロングTシャツにノーブラだったことを思い出して胸の前に手をクロスする。

「郁美さん。真っ赤になってかわいい。
俺の前だからよいですけど、そんな格好で玄関開けちゃダメじゃないですか?」

そう言って、屈託なく笑う。


「……」

からかわれてる…
だけど…もう何年もこんな風に男性と触れ合ってない。

こんな若いこにドキドキするなんて、枯れてたからだわ。

イケメンにこんな風にされたら、誰だってドキドキするもんよね。


私は、この感情が一過性のものだと結論つけて納得することにした。



目の前のイケメンは、毒だ。


だけど、行くところのない青年を放り出す気にもなれなくて…


自分の言葉に責任も感じ、奇妙な同棲生活がはじまった。








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