まるでペットのような彼

一緒の生活

悠は、スーツケース一つに大きなカバンだけだった。

荷物が少ない。


シェアしていた家具とかは、そのまま部屋に置いてきてしまったようだ。



「郁美さん。」


「は、はい。」

なんだか声が上ずってしまった。
悠がクスクス笑ってる。


笑うと年齢相応な顔をして、かわいい。
ついその笑顔に見惚れてしまう。


「朝食にしませんか?」

「あ、…」
そうね、そうよね。
まだ、朝食にしてなかった。

「それとも、俺のこと食べてみる?」

「……っ!!」

顔を寄せてそんなこと言わないでほしい。

「郁美さんて、いちいち反応してかわいい。」


「……」


なんだか、ペースが…

完全に悠ペース?



会社で仕事の鬼と言われてるのに、こんな一回り近く年下の男の子になに振り回されてるのよ。




私は、キッチンに立ちトーストとベーコンエッグに紅茶を用意した。


「はい。簡単なのしかできないけどね。」

「ありがとう。」

目の前で美味しそうに食べている。
イケメンて、食べてるときもイケメンなんだな~
なんて思ってしまう。


ま、本人も言ってたし、目の保養になる大型犬を飼ったと思えばよいのかな?


そんな感覚だった。


えらく懐っこくてかわいい笑顔の悠。





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