まるでペットのような彼
いつものように気がついたら、お昼近くになっていた。

悠が洗濯や掃除をしてくれている。
私に気がついて、振り向いてくれた。

「起きた?」

「ん…おはよう。」

「おはよう」

悠が近寄ってきて、私の額にキスを落とす。

「なにか食べる?」

「うん…」

そう返事するとベッドまでトーストとスープを持ってきてくれた。

「昨日の郁美がつくってくれたスープ。先にいただいたけど、おいしかったよ。」

「…ありがとう。」

「どういたしまして。」

「ねぇ?」

「ん?」

「なんで授かり婚なんて考えたの?悠には、まだ早くない?」

「昨日も言ったけど、親御さんに反対されても大丈夫なようにってのと、郁美のこと考えたんだ。」

「私?」

「そう…失礼だけど、郁美の年齢を考えたら、早いほうが身体の負担にならないんじゃないかと思ったさ。勝手に決めてわるいと思ったけど、俺、自分の子どもが欲しいんだ。」

それを聞いた私は、悠を抱きしめていた。

「郁美。積極的。ご飯にしないで郁美をいただいてよい?」

目の前にいつもの整った顔が近寄ってきて唇を重ねる。

なんだか夢の中にまだいる感覚で、悠に翻弄されるままに過ごした。












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