まるでペットのような彼
「その顔は、失礼なこと思ってるでしょ~」

「えっ?あ…なんにも…」

「ホント、誤魔化すのが下手すぎ。どうせオヤジくさいとか思ってるんでしょ?笹谷にもよく言われるもの。」

「えっ?ウソ?」
笹谷くんに言われるなんてのが信じられなかった。
だって、笹谷くんてハッきりしてるけど、優しい。

「まったく、笹谷って郁美には、とことん優しかったからね。あれでいてけっこう毒舌なのよ。まぁ、腹黒いとこあるけど、裏があるタイプじゃないからよいんだけどね。」

「そうなんだ~」

「けっこう、男連中だってそれなりに裏があるものよ。中森ほどじゃないけどね。」

聞いていたら、私ってあまり同期のことも知らないんだと思った。

けっこう仲良くやってたつもりだったんだけどな~

「あ~、あんま気にしなくてよいからね。中森が笹谷を狙ってたのも、笹谷が郁美を好いていたのも、けっこうみんな知ってたから。
それに、神田さんと付き合ってたのも笹谷は、知っていたしね。」

「えっ?ウソ?」

「神田さんが結婚したって噂話しがあったときに、相手が郁美じゃないことに笹谷が怒ってたもの。あの時って笹谷にも彼女がいたから、直接慰めたりしなかったみたいだけど…
私と飲みにいってクダ巻いてまいったわよ。私もその時に笹谷が知ってたことを知ったんだけどね。
それだけ郁美のことをよく見てるってことよね。」


そうだったんだ…
それでクリスマスのときに誘ってくれたのかな?
悠と付き合っていたから、お断りしたけど、心配してくれているのは、わかったもの。







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