ハピネス
扉は156cmの私が見上げる程大きくて、表面には複雑な模様が満遍なく刻まれていた。


この扉を、開ければいいんだよね…?


右手で押してみると、案外簡単にギィ…と開く。


先は真っ暗で何も見えないのに、恐怖感は感じないで足を踏み入れる。


そう言えばあの女の子は……?と思ったけど、さっきまで女の子がいた場所には誰もいなかった。


「会った事、ある気がするんだけどな………」


でも、思い出せない。


このまま扉に入ったら、あの人の事も思い出せるんだろうか。


目線を前に戻して、後ろの世界とは真逆の真っ黒な世界を歩く。
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