ハピネス
人間が……空中に浮いている………


あり得ない光景に呆然と突っ立っている私を尻目に、美女はフワフワと浮いたままこちらにやって来る。


――――ソッ


彼女の細くて白い指が左頬に触れた瞬間、全身が温かいお湯に包まれた様な感覚になった。


「よく思い出しなさい。この学校には、ジンクスがあるでしょう?」


「ジン…クス?」


「……“朝日のジンクス”よ」


朝日の…ジンクスって……


『朝日と共に天使に出会った者は、願い事を叶えて貰える』


ジンクスの内容が頭に蘇り、ハッと目を見開くと、美女はまたニコッと微笑んだ。
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