例えば魔女と恋をして


何かが、突然俺の腕を捕まえた。



「私の大好きな人に手をださないでっっ‼」


震えた声で叫んだ彼女…。


いつも隣で聞いていた声。


ベールの向こうの見えない彼女の笑顔をいつの間にかよく、想像するようになっていた。



俺の目の前にいたのは…



魔女の姿をした天使だった。


「や、八神さん…?」


動揺を隠せない俺に

目に涙をいっぱいためて君が笑う。


「大丈夫、暁君は私が守るから」



な…に、言ってるんだ?


ずっと隠していた正体を、こんな大勢の前でさらけだして

泣きながら…

笑わないで…


わけもわからず、彼女の手を引いて会社から飛び出していた。



誰にも見せたくない。

八神さんの素顔を…

それは彼女が天使だからじゃないって

今なら言える。



彼女はそう。


俺だけの魔女。




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