例えば魔女と恋をして
そんな風に考えた今
こんなに近くにいるのに
脅えるだけで
八神さんという一人の人間を見ようとしていなかったんだなーと思い知らされる。
それはまるで
噂に振り回されていじめっ子に加担していたような
居心地の悪さ。
そうなると…なぜか古株の先輩達がいじめっ子に見えてしまうのは…
八神さんに対するきまずさからだろうか…?
勤務もそろそろ就業時間を迎える頃だった---
「八神!すまない。これとあれと…
書類の書き直しを頼めないかな…?」
課長がそう言いながら厚さ50センチ程はありそうな書類の束をドンッと彼女のデスクに乗せた。
こういう光景はたびたび目撃したことはあるものの
八神さんはいつだって、NOとは言わなかった。
「ふぅ…仕方ないですね」
「悪い、頼むな。」
「分かりました」