例えば魔女と恋をして


「じゃあ、俺は帰ります。頑張って下さいね」


「あ、ありがとうっ‼」


慌ててもう一度お礼を言った私に振り返り微笑む。



彼が出て行ったあと


これが夢だったんじゃないかと思って

きゅっと頬をつねってみた。


「いたっ‼」

ってことは…

やっぱり夢じゃないってこと?…だよね。



よく考えれば

会社で暁君が私に向けて笑うなんて

しかもあんな間近で…


それは今思い返せば初めてだったかもしれない。



「私…彼の事が好きなくせに。

全然彼のことが見えてなかったな…」




ツキツキと

胸が痛くなるたび

想いが募る。


好きだと実感すればするほど

フられた痛みでまた

胸が締め付けられる。



「それでも…

フられちゃったけれど…

優しくしてくれるってことは…

暁君もき気まずい関係を望んでないのかな…」


そんな風に

都合よく解釈しても…

いいのかな…?



< 73 / 131 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop