例えば魔女と恋をして
「じゃあ、俺は帰ります。頑張って下さいね」
「あ、ありがとうっ‼」
慌ててもう一度お礼を言った私に振り返り微笑む。
彼が出て行ったあと
これが夢だったんじゃないかと思って
きゅっと頬をつねってみた。
「いたっ‼」
ってことは…
やっぱり夢じゃないってこと?…だよね。
よく考えれば
会社で暁君が私に向けて笑うなんて
しかもあんな間近で…
それは今思い返せば初めてだったかもしれない。
「私…彼の事が好きなくせに。
全然彼のことが見えてなかったな…」
ツキツキと
胸が痛くなるたび
想いが募る。
好きだと実感すればするほど
フられた痛みでまた
胸が締め付けられる。
「それでも…
フられちゃったけれど…
優しくしてくれるってことは…
暁君もき気まずい関係を望んでないのかな…」
そんな風に
都合よく解釈しても…
いいのかな…?