例えば魔女と恋をして


ようやくひと気の無い会議室を見つけて
逃げ込むと


俺の手を振り払った彼女は

やっぱり泣いていた。


その泣き顔は見えなくても細い肩が震えているのは一目瞭然だった。



「暁君…ひどいわ」


囁くような彼女の声に胸が痛む。


「みんなの前で言うなんて…」


彼女の声は以前よりも可愛らしく聞こえていた。



そう

俺は八神さんのことを何も知らなかった。


魔女とうベールを取り除けば

彼女は普通の

一人の女性だったのに…


知ろうともしなかった。


でも

今更ながら…

彼女の事が知りたくてたまらない。


好意なのか


好奇心なのか


まだ


ハッキリ分からなくても


彼女の好意を無下にしてしまった

今更

彼女を知りたい。



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