僕が嫌いな君が好き
教室に入ったら、望がすでに席に座っていた。


「あ、先輩に会ったんか!?」


おはようぐらい言えや…。


「会ったけど…?」


「その顔は作戦失敗かー」


「知らん男に邪魔された。多分先輩の先輩」


「大先輩ってことやな」


きっと俺の初めの一歩は、1ミリも彼女に響いてない。


「まぁまぁ、気晴らしにさ?これ観に行かへんか?」


望が手渡してきたのは、ミュージカルのチケットやった。


「男同士で行くもんちゃうやろ?」


「ええやん!付き合ってや!」


「誤解を招く言い方すんな」


何が楽しくて、男同士でミュージカルなんかに行かなアカンねん。


「竜聖、衣装志望やろ?勉強やと思って、な?」


…確かに、そう思うと、ちょっと興味はある。


「…しゃーないなー…」


「おしっ!じゃあ、決まりなー!」


どうせ日曜日は暇やし。

いい刺激を受けて成長して、彼女に認めてもらって…。

…って、そんなうまくいかんか。
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