僕が嫌いな君が好き
ー真由美sideー




「ほんまにごめんなさい…」


藤崎くんのお友達にも、きちんと謝った。

お金を払おうと思ってたけど、


「いやいや!大丈夫ですよ!チケット、親父から貰ったやつなんで」


「そう、なんや…」


その言葉に少しだけ、安心もした。

…とはいえ、見たかったやろうし、迷惑かけたことに変わりないし…。

なんて考えていたら、小さく手招きされて…

言われるままに顔を寄せると、耳元で囁かれた。


「親友の恋のためなら、これくらい大したことないっす」


「…へ?」


少し離れて彼を見つめると、人懐っこい笑顔でにこにこと微笑んだ。


「…どういう、意味?」


「分かってるくせに」


お友達は、それ以上は語ってはくれなかった。

確かに、藤崎くんには、初めて喋った時に告白されて…

ふざけてると思ってた。

遊びかなんかだって…

あんなチャラそうな子が、一目惚れだのなんだのって、怪しさしか感じなくて…

だけど、今でも…私のこと?

そんな風にしか考えられない。

私はあまりにも単純すぎる。

ほんとに、本気なのかな…?
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