僕が嫌いな君が好き
ー真由美sideー




藤崎くんに出会ってから、何もかもが掻き乱された。

あんな邪魔するようなことする子やないと思ったけど…

やっぱり傲慢で、勝手で…

私のことなんて考えてない。

もう、顔も見たくない…

そんなこと思ってたら、


「もーりせーんぱいっ!」


「こんにちはっ!」


藤崎くんのお友達の子に、声をかけられた。


「あ、こないだは、ごめんね…」


「そんなことはどうでもいいんですけど、ちょっとだけ、お話いいですか?」


今度はこの子?

もう、なんなのよ…

人気の少ない所まで連れてこられた。


「竜聖の誤解を解きにきました」


「…誤解?」


そこで話された真実は、私の想像とは違いすぎていた。

濱田さんは浮気をしていたらしい。

その現場に遭遇した藤崎くんは、私を守りたくて…


「竜聖、森先輩のこと本気っすよ?」


「私、私は…」


私は最低だ。

また勝手に決めつけて。

突き放して、優しさに気付かないで…

大っ嫌いなんて…

どれだけ後悔しても悔やみきれない。

自然と涙が溢れて止まらなかった…


「泣かないで下さいよ…」


困り顔で笑って、自分の服の袖で涙を拭ってくれた。


「竜聖は、話すなって。俺が傷付けたのに変わりないって、言ってたんですけど…」


違う、傷付けたのは、私だよ…


「やっぱ誤解されたままは、俺が嫌なんで。見た目はあんなやけど、竜聖、真面目で優しい奴なんで…」


今からでも謝りたい。

謝っても足りないだろうけど…

…でも、もう私の顔なんて、見たくないだろうな…


「じゃあ、僕はこれで!」


藤崎くん、ごめんね……
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