僕が嫌いな君が好き
ー真由美sideー




少し遅れてしまった…

待ち合わせ場所に着くと、背の高い藤崎くんだから、人ごみの中でもすぐにどこにいるか分かった。

傘を1つさしているだけで、手には持っていなかった…

買ってくれる、って言うてたけど…?

急な雨やし。

1本しかなかったんかな?


「藤崎くん」


彼のもとまで小走りで行くと、雨に濡れないように、私の腕を引き自分の傘の中に収めた。


「遅れてごめんなさい…」


「大丈夫です。そんな遅れてないし」


優しい笑顔で迎えてくれる。


「傘、一つしかなかったの?」


「ううん?これ、森さん用」


「…藤崎くんのは?」


「俺は森さんに入れてもらうから」


にこにこ微笑む藤崎くん。

ちょっと年下っぽい姿。

なんか…ずるいよ…


「…勝手なんやから」


「俺が持つからええやろ?」
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