せいねんと、しょうじょのおだやかなひび
なかよし
side あかり
『・・・・こうしておひめさまとおうじさまはお城でずっとしあわせにくらしました!』
物語はそこでおわり。ちょっとありきたりなお話に、ありきたりなしめ言葉をつけて。
焼けたページをいくらめくっても、続きなんてないのにね。
すりきれてぼろぼろになった固いひょうしを閉じてため息をつくと、後ろからふわりと紅茶のにおいがしてきた。
振り向くと、おにいちゃんがお菓子の入ったかごと、紅茶の入ったポットとカップをおぼんにのせて立っていた。
おにいちゃんはテーブルの上におぼんを置くと、向こう側のイスにすわって紅茶を入れてくれた。
おさとうとミルクをたっぷりと入れて、甘くてとってもおいしそう。
ちゃんと手を合わせて
「いただきます」
今日のお菓子はクッキー。どこで買ったお菓子なんだろ?なんだかスーパーのお菓子売り場とかじゃあんまり見ないようなつつみだなあ。
ひと口たべると口の中にバターの香りとやさしいバニラの味が広がった。
「おいっし~~~」
おいしい紅茶に甘~いお菓子。わたしは大満足でぱくぱくお菓子を食べる。
でも、あれ?おにいちゃん今日ははぜんぜん手を付けてない。
「おにいちゃん、たべないの?」
おにいちゃんはこくん、と うなずいた。
そういえば紅茶のセットもわたしのぶんだけだ。
具合でもわるいのかな?
わたしは食べるのをやめておにいちゃんのそばによって行った。
不思議そうな顔をするおにいちゃんのおでこに手を当てて確認。
「あれ?別に熱はないみた・・・・・・あつっ?!」
それまでわたしとおんなじ温かさだったおでこが、急に熱くなった。わたしはあわてて手を引っ込めた。
ドライアイスを初めてさわっちゃった時を思い出す。
「おにいちゃん、体のちょうしが悪いんだったらムリしないで、わたしがかわりに色々するからっ」
これでもけっこう、家事とか、すいじとか、大体のことはできるようになってきたんだもん。ハウスキーパーさんには、ちょっといやそうなかおをされちゃうけど、気にしないで手伝っていったら、だんだんなれてきて、「こうりつ」も上げられるようになった。
だから、おにいちゃんには今日は休んでもらって、わたしが全部すませちゃうのだ。
わたしがはりきってうでまくりをしていると、おにいちゃんがとめるように手のひらをっこっちに向けて首をふるふると振った。
わたしはむきになって、
「でも、わたしできるようになったんだよ?お皿洗いとか、おそうじとか、ご飯の炊き方とか、いっぱい。だからね・・・・」
おにいちゃんは壁にかかってる時計を指さした。
短い針が5をさしてる。もうこんな時間なんだ・・・・・・・・もうこんな時間!?
まどのそとは いつの間にか日が落ちて暗くしずんでる。
わたしはランドセルを背負うとおにいちゃんに言った。
「わたしもう帰らなきゃっごめんね、ぜんぜんお手伝いできなくて!」
おにいちゃんが送ろうと付いてきたけど、わたしは玄関まででことわった。
外に出ると冷たい風がさっきまでわたしを包んでいた温かい空気をさらっていく。
見上げるとあい色と夕焼け色のグラデーションがかかってきれいな空。
明日は、ぜったいおにいちゃんのお手伝いをしよう。
ううん、なにかよろこばれることをしよう。今日は「てつや」で考えるんだ!
そう思っていたら頭の中でとぞくぞくとアイデアがわきあがってきた。
わくわくとおどる胸をおさえる。
そうときたらはやく帰らなきゃ。
わたしは全速力で走り出した。
『・・・・こうしておひめさまとおうじさまはお城でずっとしあわせにくらしました!』
物語はそこでおわり。ちょっとありきたりなお話に、ありきたりなしめ言葉をつけて。
焼けたページをいくらめくっても、続きなんてないのにね。
すりきれてぼろぼろになった固いひょうしを閉じてため息をつくと、後ろからふわりと紅茶のにおいがしてきた。
振り向くと、おにいちゃんがお菓子の入ったかごと、紅茶の入ったポットとカップをおぼんにのせて立っていた。
おにいちゃんはテーブルの上におぼんを置くと、向こう側のイスにすわって紅茶を入れてくれた。
おさとうとミルクをたっぷりと入れて、甘くてとってもおいしそう。
ちゃんと手を合わせて
「いただきます」
今日のお菓子はクッキー。どこで買ったお菓子なんだろ?なんだかスーパーのお菓子売り場とかじゃあんまり見ないようなつつみだなあ。
ひと口たべると口の中にバターの香りとやさしいバニラの味が広がった。
「おいっし~~~」
おいしい紅茶に甘~いお菓子。わたしは大満足でぱくぱくお菓子を食べる。
でも、あれ?おにいちゃん今日ははぜんぜん手を付けてない。
「おにいちゃん、たべないの?」
おにいちゃんはこくん、と うなずいた。
そういえば紅茶のセットもわたしのぶんだけだ。
具合でもわるいのかな?
わたしは食べるのをやめておにいちゃんのそばによって行った。
不思議そうな顔をするおにいちゃんのおでこに手を当てて確認。
「あれ?別に熱はないみた・・・・・・あつっ?!」
それまでわたしとおんなじ温かさだったおでこが、急に熱くなった。わたしはあわてて手を引っ込めた。
ドライアイスを初めてさわっちゃった時を思い出す。
「おにいちゃん、体のちょうしが悪いんだったらムリしないで、わたしがかわりに色々するからっ」
これでもけっこう、家事とか、すいじとか、大体のことはできるようになってきたんだもん。ハウスキーパーさんには、ちょっといやそうなかおをされちゃうけど、気にしないで手伝っていったら、だんだんなれてきて、「こうりつ」も上げられるようになった。
だから、おにいちゃんには今日は休んでもらって、わたしが全部すませちゃうのだ。
わたしがはりきってうでまくりをしていると、おにいちゃんがとめるように手のひらをっこっちに向けて首をふるふると振った。
わたしはむきになって、
「でも、わたしできるようになったんだよ?お皿洗いとか、おそうじとか、ご飯の炊き方とか、いっぱい。だからね・・・・」
おにいちゃんは壁にかかってる時計を指さした。
短い針が5をさしてる。もうこんな時間なんだ・・・・・・・・もうこんな時間!?
まどのそとは いつの間にか日が落ちて暗くしずんでる。
わたしはランドセルを背負うとおにいちゃんに言った。
「わたしもう帰らなきゃっごめんね、ぜんぜんお手伝いできなくて!」
おにいちゃんが送ろうと付いてきたけど、わたしは玄関まででことわった。
外に出ると冷たい風がさっきまでわたしを包んでいた温かい空気をさらっていく。
見上げるとあい色と夕焼け色のグラデーションがかかってきれいな空。
明日は、ぜったいおにいちゃんのお手伝いをしよう。
ううん、なにかよろこばれることをしよう。今日は「てつや」で考えるんだ!
そう思っていたら頭の中でとぞくぞくとアイデアがわきあがってきた。
わくわくとおどる胸をおさえる。
そうときたらはやく帰らなきゃ。
わたしは全速力で走り出した。