無愛想で糖度高めなカレの愛
きっぱり言われて、私はヒクッと口の端を引きつらせる。

くそぅ……いつも無表情のくせに、こういう時だけ哀れむような目をするなっつーの!


でも悔しいかな、彼が言うことは当たっている。

義理チョコ以外はあげる予定がないからこそ、あの提案をしたのだから。だって、その方が考えやすいんだもの。

私は歪んだ笑みを浮かべつつ、ため息を吐き出す。


「河瀬くんってデリカシーないよね……」

「よく言われます」


頷きながら再び前を向く彼を見て、私は呆れたように苦笑した。

良くも悪くも正直なのよね、このコ。自分が人にどう思われるか、全然気にしていないみたいだし。

研究以外は興味がないっていう噂は、こういうところからもきているのだろう。


でも、こんな彼の性格、私は嫌いじゃない。


「河瀬くんって変わってるけど、私は尊敬してるよ」


彼は意外そうな顔をして、再び私を見下ろした。

私はにこりと微笑んで、前から思っていたことを伝える。


「こっちがどんな難しい案を出しても、河瀬くんは研究をする前に絶対“できない”とは言わないじゃない。ボツになる時ももちろんあるけど、とにかく一度は試してくれるでしょ? そういうとこ、本当に尊敬する」

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