無愛想で糖度高めなカレの愛
●ハンドメイドで心をつかめ
「……うん。じゃあまたね」
耳に愛しい声の余韻を残したまま、スマホをタップして通話を終了させた。
クリスマスはお互い仕事だけれど、終わったらレストランに食事しに行く約束ができて、自然と顔がにやけてしまう。
忘年会から数日後の夜、自分の部屋のラグマットの上に座って電話していた私は、ふと視線を感じてドアに目をやった。
少し開いた隙間から、二つの瞳が覗いているのに気付いてギョッとする。
「んっふっふ。ユーリンチーとラブラブだねぇ~」
「……人の彼氏を中華料理にしないでくれる? ていうか、盗み聞きするな!」
くわっと険しい顔で怒るものの、わが妹の沙織はニヤニヤしながらまったく気にせず部屋の中へ入ってくる。お風呂上がりの濡れたショートヘアから、シャンプーのいい香りを漂わせて。
「あき姉にもやーっと彼氏ができて、あたしゃ嬉しいよ」
「ありがと、沙織ばあちゃん」
ぼすん、と私のベッドに腰掛ける彼女の口調がおばあちゃんぽかったから、そう返した。
そんな嫌味もやっぱり気にすることなく、髪の毛を拭きながらうっとりと視線を宙に向けて言う。
「しかもインテリっぽい超イケメンだし! 一度は付き合ってみたいタイプだよね~羨ましい」