無愛想で糖度高めなカレの愛
ミーティングテーブルにファイルを置きながら、彼は突拍子もないことを問い掛ける。


「研究室のエースとは仲良くやってるか?」

「っ、え!?」


声を裏返らせて目を見開き、パサッと資料まで落としてしまう私。

だって、研究室のエースって夕浬くんのことよね? 何で……!?

あからさまに動揺しながら落とした資料を拾う私を見て、恵次は若干呆れたような笑みをこぼす。


「忘年会の時、親密そうだったからカマかけたんだよ。わかりやすいな、明穂は」

「なっ……!」


まんまと引っ掛かっちゃったのか……私のバカー!

夕浬くんと親密な仲だということがバレてしまったようで、私はがっくりとうなだれた。


「彼と付き合ってるのか?」


さらに詮索してくる彼に、私は少しだけ悔しさを滲ませながら、冷めた口調で言い放つ。


「あなたには関係ないでしょ」

「関係ある。お前は、俺にとってはただの女じゃないから」


力強い声に、ドクンと重い音が身体の奥で響く。

どういう意味なのよ、それは。元カノっていうこと? それとも……。

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