無愛想で糖度高めなカレの愛
眉根を寄せた、困った顔で恵次を見やると、同僚なんかではなく“オトコ”の顔をして私を見据えている。
またこの場から逃げ出したい気持ちに駆られ始めたその時、ドアが開いた。会議に出るらしき営業の社員が数人入ってきて、一気に賑やかになる。
私達の妙な空気を変えてくれて、内心ホッとした。とりあえず助かったよ……。
すると、恵次が「間宮さん」と呼ぶ。
仕事モードの呼び方に少し安堵して、ドアから恵次に目を向けると、彼はすでに同僚の顔に戻っていた。
「ここからは仕事の話。ちょっと相談があるんだけど」
「……相談?」
恵次が私に相談するなんて初めてのこと。しかも、仕事のことなら聞かないわけにいかない。
こちらも仕事モードに戻って「何ですか?」と聞くと、彼は窓際に移動し、他の社員から距離を取って話し始めた。
「バレンタイン商品を置かせてもらいたいと思ってる店舗で、一カ所まだOKをもらえてないところがあるんだ」
「どこですか?」
「楠木百貨店」
その名前を出され、私は考えを巡らせる。
楠木(クスノキ)百貨店は、この地域では知らない人はいないだろう老舗デパートだ。当然ながら立派な催事場もあるし、バレンタインもきっとそこで催し物をやるはずだけれど……。
またこの場から逃げ出したい気持ちに駆られ始めたその時、ドアが開いた。会議に出るらしき営業の社員が数人入ってきて、一気に賑やかになる。
私達の妙な空気を変えてくれて、内心ホッとした。とりあえず助かったよ……。
すると、恵次が「間宮さん」と呼ぶ。
仕事モードの呼び方に少し安堵して、ドアから恵次に目を向けると、彼はすでに同僚の顔に戻っていた。
「ここからは仕事の話。ちょっと相談があるんだけど」
「……相談?」
恵次が私に相談するなんて初めてのこと。しかも、仕事のことなら聞かないわけにいかない。
こちらも仕事モードに戻って「何ですか?」と聞くと、彼は窓際に移動し、他の社員から距離を取って話し始めた。
「バレンタイン商品を置かせてもらいたいと思ってる店舗で、一カ所まだOKをもらえてないところがあるんだ」
「どこですか?」
「楠木百貨店」
その名前を出され、私は考えを巡らせる。
楠木(クスノキ)百貨店は、この地域では知らない人はいないだろう老舗デパートだ。当然ながら立派な催事場もあるし、バレンタインもきっとそこで催し物をやるはずだけれど……。