無愛想で糖度高めなカレの愛
○不安でコーティングされる心
一月も下旬に差し掛かり、バレンタイン商品は無事発売された。
ひとつずつ違う種類のトリュフが九個入った箱の中に、私達が考えたフランボワーズやラムレーズンのチョコレートも入っている。スイーツチョコと銘打って売り出したその白い箱が、得意先の店舗に置かれているのを見ると、やっぱり感慨深い。
そして、嬉しいことがもうひとつ。
「楠木百貨店にも、私達の商品を置いてもらえることになったらしい」
と、今日の朝礼で篠沢課長から伝えられたのだ。
これを機に信頼関係が築ければ、食品売り場にもウチの商品のスペースを取ってもらえるかもしれないと、営業の方では期待が高まっているそう。
本当によかった……。私の案が助け船になったかはわからないけれど、結果オーライだ。
「楠木百貨店にも、あたし達の商品が並ぶんですね~。楽しみだなぁ」
午後一でリニューアル商品の試食会に出るため、会議室に向かう途中、美結ちゃんがウキウキした様子で言った。
たしかにどういう売り方をされるか、ポップも使ってもらえるか、とっても気になる。
「バレンタインコーナーができたら、あたし達も見に行きません?」
輝く笑顔を向ける美結ちゃんに、私もニコッと笑って頷く。
「いいねぇ、行こうよ。で、美結ちゃんは例の同級生の彼にあげるチョコを買うと」
「その通り~♪」