無愛想で糖度高めなカレの愛
疑わしげに私を見てくる彼女を、「さ、それより試食会!」と促しながらくるりと方向転換して、会議室に向かった。

今日は、これまで発売していたクランチチョコレートの別フレーバーを試食する。

チョコレートにゴーフレットを混ぜこみ、ザクザクとした食感が最大の特徴であるこの商品。今はミルクチョコとホワイトの二種類を販売しているのだけれど、好評のため他のフレーバーも試すことになったのだ。

ミーティングテーブルの上には、様々な色の長方形のクランチチョコレートが並べられている。


「ストロベリー味はやっぱり間違いないですね、美味しい!」

「抹茶も美味しいけど、風味がちょっと弱いかな」

「こ、この唐辛子味……いろんな意味でヤバいです。インパクトはあるけど……」


メンバーそれぞれが、顔をほころばせたり眉根を寄せたり、悶絶したりして、賑やかな試食会が進んでいく。

その中で、私はひとり浮かない気分でチョコレートをかじっていた。

自分に、ある異変が起きていることに気付いたから。

どれを食べてもイマイチな気がする。風味はわかるけれど、それがマッチしているのかダメなのか、判断がつかないのだ。

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