無愛想で糖度高めなカレの愛
「あー……気を遣ってくれてありがたいんだけど、夕浬くんは特に何もする気ないと思うのよね」

「えぇー、何で!?」


目を見開く美結ちゃんに、ついこの間たまたま沙織が買ってきた雑誌で読んだ、“理系男子との恋愛マニュアル”というコーナーを思い出しながら説明する。


「理系男子は記念日を365日のうちの一日としか思ってないらしいのよね。だから、こっちから“何かお祝いしてほしい”とか言わないと、行動してくれないんだって。リケダンマニュアルによると」

「……先輩もそういうのチェックするんだ」

「だって、ぴったり当てはまるから面白くて」


真顔で言う彼女に、私も真面目に返した。

そう、理系男子のマニュアルはかなり当たっている。だからきっと今回も例外ではないはず。

夕浬くんには、誕生日が節分の日と一緒だって話したことはあるけど、ただそれだけ。お祝いしてほしいとか、プレゼントが欲しいだなんてことは言っていないし、言う気もない。

自然と可愛くおねだりできる女の子ならいいだろうけど、あいにく私はそんなことができるタイプじゃない。


「今日になっても会おうとかいう連絡もないし、期待してないよ」

「でも……それじゃ寂しくないですか?」

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