無愛想で糖度高めなカレの愛
ちょっぴり眉を下げて気の毒そうにする美結ちゃんだけど、私はニッと笑ってみせる。


「いーの。大事なのは気持ちだから」


記念日は何か特別なことをしてほしいって思うのはヤマヤマだけど、どんなプレゼントをもらっても、愛がなければ意味がない。

夕浬くんは、その根本の部分をちゃんと与えてくれているのだから、私はそれで十分だ。

ふにゃりと目を細めた美結ちゃんは、「もーノロケちゃって!」と冷やかし、私の腕をつつく。


「でも、彼さえいれば幸せってことですよね。ごちそうさまです♪ 代わりにあたしが祝ってあげますね!」

「ありがとう、美結ちゃん」


優しい彼女に感謝しながら、私は後輩に恵まれてるなとつくづく思った。

意気揚々と歩き出す美結ちゃんだけど、すぐにそのペースを落とし、腕を組んで考え始める。


「何がいいかなぁ。やっぱりケーキ? ここの地下にあるケーキ屋さん、評判いいし美味しいんですよね~」


彼女の独り言みたいな言葉を聞いて、一瞬ギクリとしてしまう。

味覚がおかしいと思って以来、なんだか怖くてチョコレートはまったく口にしていない。そのせいか、甘いものも欲しくならないのだ。

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