無愛想で糖度高めなカレの愛
●元カレと今カレからのサプライズ

結局、妥協してくれた美結ちゃんは、“彼が抱きたくなる香り”というキャッチフレーズがついた香水をプレゼントしてくれた。甘すぎずセクシーで、私も好きな香りだ。

香水は出掛ける時にしばしばつけるけれど、あまり自分では買わないから、これこそ嬉しかったりする。


誕生日当日もいつものように仕事をこなし、何の予定もないけれど今日くらいは残業しないで帰ろうと、定時になったらすぐに会社を出た。

外はすでに真っ暗で、吐いた息も凍りそうなくらい寒い。

研究室の窓から明かりが漏れているのが見えるから、夕浬くんはまだ仕事しているのだろう。今日は一回も会えなかった彼に向かって、「お疲れ様」と小さく呟き、駐車場に向かった。


アパートに着いても、部屋は真っ暗。沙織の帰りは七時半頃になるらしい。

その時間に合わせてピザを頼んである。間宮家ではお祝い事がある日はだいたいお寿司かピザだったため、私達ふたりの生活になってもその習慣が抜けないのだ。

部屋着に着替えようとして、宅配のお兄さんが来た時に恥ずかしいか……なんて思い、一応やめておく。

そして、とりあえずお先にビールをいただいちゃおうと冷蔵庫を開けた私は、ピンポーンとインターホンが鳴る音で動きを止めた。

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