無愛想で糖度高めなカレの愛
ずっと溜めていた想いを吐き出した途端、涙がぽろぽろとこぼれ落ちた。

別れ話をした時は、こんなに感情を露わにしなかったし、自分の想いもそこまでぶつけることはしなかった。

もう終わりにしたい。終わりにできればそれでいいと思っていたから、言いたいことを溜め込んだまま今日まで来てしまったのだ。

恨みつらみも、感謝も。恵次に言いたかったこと全部、今みたいにぶつけていれば、私は彼のことを引きずることはなかったかもしれない。

気持ちの良い別れと、再会を果たせていたかもしれない、と今になって思った。


「……悪かった。あの時のことは全部俺のせいだ」


少しの沈黙の後、俯いて鼻をすする私の耳に、申し訳なさそうな声が届いた。

恵次は小さくため息を吐き、シートに背中を押し付ける。


「本当にバカだったんだよ。軽い気持ちで浮気しちまって、でもこれは遊びで明穂は本気なんだって、自分の中で区別してた。こんなこと言って納得するはずないだろうけど」

「当たり前じゃない」


棒読みで食い気味に返すと、彼は苦笑を漏らした。

本当に自己中で呆れちゃう。……けど、正直に包み隠さず話してくれるのはどこか嬉しくもある。

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