無愛想で糖度高めなカレの愛
包まれている柔らかな不織布をさらに開けてみると、姿を現したのは暖色系のチェック柄の膝掛け。


「もしかして……」


温かくふわふわしたそれを手に取りながら、数週間前に何気なく彼とした会話を思い出す。

今オフィスで使っている膝掛けが古くなってきたから変えようかな、なんて私が独り言みたいに言った、本当に些細な話。

夕浬くんはそのことも、誕生日も覚えていて、慣れないサプライズでお祝いしてくれようとしていた。私のために、たくさん考えて──。


夕浬くんは女心をわかっていないわけじゃないのだ。少なくとも私のことは、彼なりに考えて、喜ばせようとしてくれている。

いつだってそう。過去の恋愛話をした時も、忘年会の時も、私のことを考えて気遣ってくれていたじゃない。

それなのに私は、彼の気持ちを汲み取ることができずに、傷付けた。彼ならきっと、私の悩みも受け止めてくれるはずなのに。


「ごめん、夕浬くん……っ、ごめんなさい……」


ぽろぽろとこぼれ落ちる涙が、真新しいチェック柄の布の上に水玉模様を作っていく。

ピザ屋さんが来ても、沙織がケーキを買ってきてくれても気分は沈んだままで、二十八歳の始まりは皆に申し訳ない思いでいっぱいだった。




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