無愛想で糖度高めなカレの愛
五段階評価の項目がいくつかあり、全体的な評価はやや満足といったところ。

しかし、評価を上げているのはコストパフォーマンスで、肝心の味の評価は中間くらい、つまり普通ということ。私が一番気になってしまうのはここだ。

特殊なフレーバーの商品は、可もなく不可もない味では“一度食べればいいや”と思われかねない。私は、それでは納得できないのだ。


決して万人受けするとは思っていない。でも、美味しそうだと期待して買ってくれた人達に、“また食べたい”と思ってもらえるような商品を作りたい。

そんな意志を持って、生み出したチョコレートだった。自信があっただけに、今回の結果はかなり堪える。

もしかしたら、私の味覚や感性は皆とズレているのかも……そんなふうにまで思ってしまう。

バレンタインのスイーツチョコも、満足のいく結果が得られなかったらどうしよう。怖い……。


すっかり自信を削がれた私は、前以上に落ち込んだまま業務をこなしていた。

あっという間に二月も十日を過ぎ、バレンタイン商品も本格的に売れ始めているはず。でも、その売れ行きを聞くのも恐怖でしかない。

働きが鈍い頭を左手で支え、右手でマウスを動かしながらパソコンに向かっていると、「間宮さーん」と呼ぶ声が聞こえてきた。背筋を伸ばすと、壁側の中央のデスクで、篠沢課長が手招きしている。

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