無愛想で糖度高めなカレの愛
参考までに消費者調査で出された意見を見るけれど、厳しいものも少なくなく、結局落胆してしまうだけ。


「ほんと……ダメだ、私……」


集中力も散漫になり、デスクの上にペンを転がすと、深いため息を吐いて頭を抱えた。

三年前も味覚のことでスランプに陥ったけれど、あの時は開発課に配属されて間もなく、責任のある役割を任されていたわけではなかったから、まだ気が楽だった。

これからは、私がしっかりしないといけないのに。もう自分が嫌になる……。


ふと、足を覆ったチェック柄のひざ掛けが目に入る。夕浬くんから誕生日プレゼントでもらったものだ。

それと同時に、大好きな彼の姿が一気に頭の中を占領して、鼻の奥がツンとした。

私って、本当にどうしようもない。あの日、悩みを打ち明けることができなかったのに、今になって夕浬くんを頼りたくなるなんて……本当に大バカだ。


自分自身を卑下していたその時、コンコンとドアをノックする音が響き、びくりと肩を震わせた。

「失礼します」という声とともにガチャリとドアが開き、顔を上げた私の視界に飛び込んできたのは、今まさに考えていた彼の姿。


「ゆ、夕浬くん……!?」


驚いたのは彼も同じらしく、私を見付けた瞬間、目をぱちくりさせて固まった。

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