無愛想で糖度高めなカレの愛
前も同じ状況になったよね……デジャヴュ?
数秒ほどお互いぽかんとしていたけれど、はっとしたように夕浬くんが動き出す。
「……お疲れ様です」
軽く頭を下げ、彼はいたって普通の様子で中へ入ってきた。私の心臓は急に早鐘を打ち始める。
会えたことが嬉しくもあり、それと同じくらいの気まずさもある。けれど、私もなんとか平静を装う。
「お疲れ様。どうしたの?」
「室長の代わりに、篠沢課長に頼まれてた資料を届けに来ました。工場の方に行ってたら、こんな時間に」
「そっか……」
私達の間には数台のデスクを間に挟んでいて距離があるけれど、静かなオフィスにはお互いの声がよく響いた。
篠沢課長のデスクに持っていたファイルを置いた夕浬くんは、いつもの無愛想な顔でこちらを向く。久しぶりに目と目が合い、胸がきゅうっと切なく鳴いた。
彼は一度目を逸らし、眼鏡を押し上げるわずかな時間で言葉を選ぶようにして言う。
「明穂さんも、遅くまで大変ですね」
「ん……」
どことなくよそよそしさを感じて、私も言葉が出てこない。笑顔もぎこちなくなってしまう。
どうしよう……会社とはいえ、せっかくふたりきりになれたのに、何も話さないままでいいの?
数秒ほどお互いぽかんとしていたけれど、はっとしたように夕浬くんが動き出す。
「……お疲れ様です」
軽く頭を下げ、彼はいたって普通の様子で中へ入ってきた。私の心臓は急に早鐘を打ち始める。
会えたことが嬉しくもあり、それと同じくらいの気まずさもある。けれど、私もなんとか平静を装う。
「お疲れ様。どうしたの?」
「室長の代わりに、篠沢課長に頼まれてた資料を届けに来ました。工場の方に行ってたら、こんな時間に」
「そっか……」
私達の間には数台のデスクを間に挟んでいて距離があるけれど、静かなオフィスにはお互いの声がよく響いた。
篠沢課長のデスクに持っていたファイルを置いた夕浬くんは、いつもの無愛想な顔でこちらを向く。久しぶりに目と目が合い、胸がきゅうっと切なく鳴いた。
彼は一度目を逸らし、眼鏡を押し上げるわずかな時間で言葉を選ぶようにして言う。
「明穂さんも、遅くまで大変ですね」
「ん……」
どことなくよそよそしさを感じて、私も言葉が出てこない。笑顔もぎこちなくなってしまう。
どうしよう……会社とはいえ、せっかくふたりきりになれたのに、何も話さないままでいいの?