無愛想で糖度高めなカレの愛
最初に思い切って結論を言ってしまうと、後から不思議なほど正直な気持ちがすらすらと出てくる。

けれど、話しているうちにだんだん声は弱くなり、目線も夕浬くんから下へ下へと落ちていく。


「こんな時に、課長は今度から私に開発チームのリーダーを任せるって言ってくれたの。それはすごく嬉しくて、その期待に応えたいのに、全然いいアイデアが浮かばなくて……。なんかもう、こんな自分がすごく嫌だ」


話していて情けなくなる。冷える足を包み込んでくれているひざ掛けの上でぐっと手を握り、瞳に込み上げてくるモノを堪えた。

すると、さっきよりも近くから彼の声がする。


「……間宮さん」


顔を上げれば、いつの間にか私が座る島のもとに夕浬くんが歩いてきていた。名前ではない呼び方と、先鋭さを感じる瞳から、彼が仕事モードであることがわかる。

隣の美結ちゃんの席までやってきた彼は、私を見下ろしてあっさりと言い放つ。


「その問題は、あなただけではどうしようもありませんよ」


うっ……たしかにそうなんだけど、ちょっと冷たい……。

夕浬くんの言葉がグサッと胸に刺さり、また落ち込みそうになっていると、彼は私のすぐそばからパソコンの画面を覗き込むようにして問い掛ける。

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