無愛想で糖度高めなカレの愛
「評価がいまいちだったのはどの点ですか?」

「……味とパッケージ。“ぱっとしなかったけど安かったから買った”とか、“飽きる味だ”って意見もあったわ」


アンケート用紙のコメント欄に書かれていた意見を伝えた唇を、悔しさから噛みしめた。


「こういう意見を出されるのは初めてじゃないけど、やっぱり自分が提案したものだからヘコむな……」


背もたれに背中を押し付け、深く息を吐き出した。こんなにため息ばっかりついていたら、本当に幸せが逃げていきそうだ。

そんな、ネガティブ思考が改善しない私に、夕浬くんは静かできりりとした声を投げ掛ける。


「どうして、自分だけで受け止めようとするんですか?」


その声に引き上げられたみたいにぱっと顔を上げると、彼は厳しさを感じる表情で私をじっと見据えている。


「これは間宮さんだけに向けられた意見じゃない。反省しなければいけないのは、僕だって同じです。提案したのは間宮さんでも、あなたひとりで商品を作っているわけじゃないでしょう」

「あ……」


若干いつもより語気を強めて言われ、冷水を浴びせられたようにはっとした。一瞬にして、目が覚まさせられた気分。

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