無愛想で糖度高めなカレの愛
商品は私ひとりで作っているわけじゃない。その通りだ。
篠沢課長にこの結果を伝えた時、彼女は『また皆で話し合いましょう』と明るく言っていたけれど、その表情からは残念そうにしているのが見て取れた。
どうしてその時に気付かなかったのだろう。
課長も、私と同じようにショックを受けている。そして、このことは私や課長だけでなく、夕浬くんも、この商品の企画に携わったすべての人の問題になるのだということに。
「僕達はいいと思っても、それが受け入れられるかは、商品が世に出てからじゃないとわかりません。でも、だからこそ改良を重ねてより良いモノができるんじゃないですか。それをするのが、僕の仕事でもある」
いつもの淡々とした口調に戻ってきたものの、厳しさは消えない彼の声。けれど、どこか温かさも感じて、心にすんなり溶け込んでくる。
──開発課で働き始めて約四年。彼が諭すことは十分過ぎるほどわかっているはずなのに、ここ最近の私はそれが頭からぽっかり抜け落ちていたみたい。
味覚のことに加え、初めて挫折を味わって、大事なことを忘れてしまっていた。ひとりよがりになっていたのだ。
夕浬くんが、皆がいなければ、そもそも私の案は実現されなかったというのに。
篠沢課長にこの結果を伝えた時、彼女は『また皆で話し合いましょう』と明るく言っていたけれど、その表情からは残念そうにしているのが見て取れた。
どうしてその時に気付かなかったのだろう。
課長も、私と同じようにショックを受けている。そして、このことは私や課長だけでなく、夕浬くんも、この商品の企画に携わったすべての人の問題になるのだということに。
「僕達はいいと思っても、それが受け入れられるかは、商品が世に出てからじゃないとわかりません。でも、だからこそ改良を重ねてより良いモノができるんじゃないですか。それをするのが、僕の仕事でもある」
いつもの淡々とした口調に戻ってきたものの、厳しさは消えない彼の声。けれど、どこか温かさも感じて、心にすんなり溶け込んでくる。
──開発課で働き始めて約四年。彼が諭すことは十分過ぎるほどわかっているはずなのに、ここ最近の私はそれが頭からぽっかり抜け落ちていたみたい。
味覚のことに加え、初めて挫折を味わって、大事なことを忘れてしまっていた。ひとりよがりになっていたのだ。
夕浬くんが、皆がいなければ、そもそも私の案は実現されなかったというのに。