無愛想で糖度高めなカレの愛
彼女、容姿は標準的だし、性格は……ちょっと絡みづらいところもあるけど決して嫌な人ではない。

お相手がいてもまったくおかしくないのに、どうしてだろう。

緑茶をすすりながら考えていると、ポリポリと音を立てながらおせんべいを噛み砕く美結ちゃんが、何の悪気もない調子でこんなことを言う。


「最近の篠沢さん、相手に彼女いようがブサイクだろうが、“男の人と喋れるだけで嬉しい!”っていうのを隠さないし、もう開き直っちゃってますよね。結婚諦めたのかなぁ」

「それ、絶対本人いる前で言っちゃダメだからね」


据わった目で彼女を見ながら、しっかり忠告する私。

このコ、天使みたいに可愛い顔して、悪意なく失礼発言をしちゃう天然ちゃんだから恐ろしいわ……。


「あ、でも今度営業課に新しい男の人が来るみたいで。その話してる時の篠沢さんも、すんごい嬉しそうだったんですよ。ありゃ狙ってるな」


私の言ったことが聞こえていたのかいないのか、美結ちゃんは腕組みをして頷いている。

本当に気をつけてよね……。

苦笑しながらも、私は今の話に「へぇー」とあいづちを打つ。


「新しい人来るなんて、こんな時期に珍しいね」

「食品会社で営業やってる人なんですって。そこで成績が良いらしくて、知り合いだった専務が声を掛けてこっちに来ることになったとか」

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