無愛想で糖度高めなカレの愛
あぁ、この感覚は三年ぶりだ。恵次が女の子とホテルに入っていくのを見た、あの時と同じ。

いや、それ以上に辛い。夕浬くんだけは、私を裏切るようなことはしないと信じていたから。

私だけを愛してくれると──。


『俺は、これからもあなただけを愛しますよ。それを望んでくれるなら、いつまでも』


私達が結ばれた日の夜、彼がそう言ってくれた時の情景が、ふいに蘇ってきた。

あの言葉や微笑みは嘘だった? と、少しだけ冷静になって考えを巡らせる。


……彼は、私に嘘をついたことは一度もない。軽々しく嘘を吐き、騙すような人でもないとも思う。

私にくれた愛情も、きっと偽りのものなんかではない。そう信じたい。


それに、肝心なことを忘れていた。私も彼に同じ光景を見せてしまったばかりじゃない。

恵次に抱きしめられた誕生日の夜、きっと夕浬くんも今の私と同じ感情を味わったに違いない。そう思うと、彼を責めるどころか罪悪感に囚われる。

何か事情があったのかもしれないのに、勝手に決め付けてはいけない。私が彼を信じる気持ちは、こんなことくらいで揺らがせてはいけないのだ。

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