無愛想で糖度高めなカレの愛
『望んでくれるなら、いつまでも』

彼の言葉を裏返せば、私が諦めたらこの恋は散ってしまうということかもしれない。

だから戻らなきゃ。逃げていたら三年前と何も変わらない。

今日は、私達の恋を未来に繋げるために、ちゃんと話をしに来たのだから。

ぐいっと力強く涙を拭い、つま先の位置を変えて車に背を向けた、その時。


「明穂さん!」


さっきと同じ、焦燥感の滲む声が響いた。

会社のエントランスの方から、夕浬くんがこちらに向かって走ってくる。コートではなく、白衣を着たままの姿で。

追い掛けてきてくれるとは思わず、私は目を丸くする。


「夕浬くん……っ!」


名前を口にした直後、すぐそばまで駆け寄ってきた彼は、私を勢い良く抱きしめた。

え、えぇーっ!? こんな所でなんて大胆な!!

突然の抱擁に、何の構えもできていなかった私はテンパってしまう。


「ちょ、ここ会社──」

「ごめん、明穂さん……!」


彼の腕の中でじたばたしていたけれど、本当に申し訳なさそうな声と、押し潰されそうなほどギュッと抱きしめられる力によって、自然と抵抗するのをやめていた。

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