無愛想で糖度高めなカレの愛
「あなたが出ていってすぐに、彼女も帰りましたよ。俺が明穂さんのことをどれだけ愛しているか、事細かに説明している最中に『十分わかりました』と。ようやく諦めてくれたみたいです」

「そ、そっか」


安達さんには本当に申し訳ないけど、くどくどと論理的に説く彼とタジタジになる彼女の姿が想像できて、つい苦笑してしまった。

でも、どれだけ私のことを愛しているか説明してくれただなんて、その内容が気になるな……。


「何て言ってくれたの?」


さりげなく私の肩を抱き、風よけになって歩いてくれる夕浬くんを見上げて問い掛けると。


「……今日は、このまま一緒にいてくれますか?」


質問には答えず、逆にそんなことを聞くものだから、私はキョトンとしつつ「そのつもりだけど」と頷いた。

すると彼は、私の耳に顔を寄せて、白い息とともに甘い声をこぼす。


「じゃあ、今夜ベッドの中で聞かせてあげますよ。たっぷりと」


ドキン!と心臓が騒ぎ出す。

イタズラっぽく上がった口角を目の端に映しながら、私は寒さを感じなくなるくらい身体を火照らせた。


なんだか、いつの間にか仲直りしちゃったみたい。

まだ話さなければいけないことはたくさんあるけれど、わだかまりがなくなったことに、ひと時の嬉しさを感じていた。




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