無愛想で糖度高めなカレの愛
細かい情報を知っていることに、少しびっくりする。


「詳しいね」

「篠沢さんはその人の年齢から未婚か既婚かまで聞き出したみたいだけど、『それはナイショ』って教えてくれませんでした」

「はは……」


そこまで聞き出したなんて、本当に狙うつもりじゃないのお局様……。

微妙な顔で笑う私に、紙コップに口をつけた美結ちゃんが微笑みかける。


「バレンタインの新商品から関わるみたいだから、あたし達もお目にかかれますね」

「ふーん、そっか。やりやすい人ならいいけど」


あっという間に食べ終えたおせんべいの袋をまとめながら、そんなことを切に願う。

新商品が完成すれば、営業課とも関わる機会が今以上に増えるから、正直くせ者営業マンにはあまり来てほしくない。

すると、美結ちゃんが私の顔を覗き込み、意味深な上目遣いで見てくる。


「もし良さそうな人なら、先輩も狙ってみたらどうですか?」


その言葉に、私はふっと鼻で笑ってしまった。


「私はいいよ。自分から積極的に行くのって苦手だし」


昔はそんなことなかったのに、いつからか受け身姿勢になっている。

……たぶん、三年くらい前、付き合っていた彼氏とダメになった頃からかな。

愛するよりも愛されたいと、強く思ったあの頃からだ。

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