無愛想で糖度高めなカレの愛
そっか……さすが夕浬くん、やっぱり見抜いていたのね。


「夕浬くんの言う通りなの。実は……」


観念した私は、肩の力を抜いて話し始めた。

突然チョコレートを美味しいと思えなくなったことや、甘いもの自体を食べたいと思わないこと。同じようなことが三年前にも起こったこと。自分の中の些細な変化も、全部打ち明けた。

黙って聞いてくれていた夕浬くんは、腕を組んで少し考えてから口を開く。


「俺が考えただけなんで、何の確証もないですけど……原因のひとつに、手塚さんが絡んでいるんじゃないかな」

「恵次が?」


思わぬ人の名前が出されて、私はきゅっと眉根を寄せた。

恵次が関係あるとはどういうことなのか、首をかしげて考えていると、夕浬くんは顎に手をあてて説明する。


「彼がつけている香水、あのバニラの香りには食欲を抑制する効果があると、科学的に証明されています。甘いものを食べたくなってしまう時は、その香りを嗅ぐとダイエット効果に繋がるんだとか」

「そうなんだ……!?」


バニラの香りにそんな効果があるなんて知らなかった!

目を丸くする私だけど、彼は淡々と自分の考察を述べる。

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