無愛想で糖度高めなカレの愛
結局、私はどこが悪かったわけでもなく、本当にただの思い込みが原因だったようだ。
夕浬くんが作ってくれた生チョコも、私が買ってきたトリュフも、ちゃんと美味しさを感じることができたから。
誕生日にあった恵次とのこともちゃんと話して、完全にお互いの不安がなくなった頃には、外はすっかり暗くなっていた。
これから始まる、久々のふたりきりの夜は、もちろん彼の部屋で過ごす。
「……くしゅっ」
暖房で暖まった寝室のベッドに腰掛けていると、立ったままカーディガンを脱ぐ彼がくしゃみをした。ブラウスのボタンを外そうとしていた私は、手を止めて彼を見上げる。
「大丈夫? あんな寒い中、コートも着ずに出るからだよ」
「そんなことしてたら明穂さんがいなくなると思ったんで」
あの時、白衣姿のまま私を追い掛けてくるくらい焦ってくれたんだなと思うと、ふっと笑みがこぼれた。
私も立ち上がり、鼻をすする彼の腰に腕を回した。しなやかな身体に抱きつき、ちょっぴり大胆なことを言ってみる。
「これから私が温めてあげるね」
「明穂さん……エロいです」
裸眼で私を見下ろしてそんなことを言う彼は、無表情なものの、頬がほんのり赤く染まっていた。