無愛想で糖度高めなカレの愛
週末の午後七時、私はオフィスでひとり残業していた。
昼間にあった会議が長引いて自分の仕事が終わらなかったためと、デザイン会社から送ってもらった、パッケージの変更後のデザインを確認するためだ。
あちらの都合で送るのが遅くなってしまい、届いたのはついさっき。
どうせ残業するから私が確認しておきますと言って、予定があるらしい篠沢課長には先に帰ってもらった。
あとはこれを確認して終了……のはずなのだけど。
「あれ? 何これ、見られないじゃない……」
添付されているデータを、何故かダウンロードすることができない。
眉間にシワを寄せ、睨むようにパソコンの画面を見つめながら操作しても、結果は同じ。
えぇ~ちょっと、このままじゃ帰れないわよ!
デザイン会社の方に聞いてみるしかないか……すぐに連絡取れるかな。
ため息を吐き出し、受話器に手を伸ばした、その時。
コンコン、とドアをノックする音が聞こえて、私はぴたりと動きを止めた。
誰か忘れ物でも取りに来たのだろうかと思った瞬間、ドアが開いて予想外の人物が姿を現す。
「失礼します」
「えっ……河瀬くん!?」
入ってきたのは、いつもの白衣姿ではなく、ネイビーの細身のスーツを纏った彼だ。