無愛想で糖度高めなカレの愛
「昔は苦手だったくせに、今じゃウザいほどチョコについて語ってるって、なんか恥ずかし……」
「全然そんなことないよ! 夕浬くんも私と同じだったって知って、ちょっと嬉しかったんだから」
頭を掻いて気恥ずかしそうにする彼を可愛いなぁと思いながら、沙織達がいるデザートのコーナーを指差す。
「ほら、ここにもチョコレートフォンデュあるよ。私達も取りに行こっか」
とろとろと流れる滝のようなチョコレートを見て、わくわくしながら言う私に、彼も「そうですね」と頷いて微笑んだ。
席を立つと、並んで歩き出す彼がふと足を止めて私を見つめる。キョトンとして私も見つめ返すと、眼鏡の奥の瞳が柔らかく細められた。
「ずっと思ってたけど……あの時に見た女の子、明穂さんに似てた気がするんですよね」
──ドキン、と胸が鳴った。
あの時に運命の出逢いを果たしていたのかも、というかすかな期待が、今また浮上してくる。
「そんなことありえないけど。好きだからそう思うだけかな」
軽く言いながら、私の手を取る彼。笑みがこぼれる私は、胸が躍り出すのを感じながら、ぎゅっと手を握り返した。
──あなたが見たのは、本当に私だったのかもしれないよ、と後で伝えよう。
どんな表情を見せてくれるだろう。驚くかな。
でも、たとえ無愛想でも、きっとたくさんの幸せを私に与えてくれるはず。
それが、彼なりの糖度高めな愛し方だから。
*†*:;End;:*†*
「全然そんなことないよ! 夕浬くんも私と同じだったって知って、ちょっと嬉しかったんだから」
頭を掻いて気恥ずかしそうにする彼を可愛いなぁと思いながら、沙織達がいるデザートのコーナーを指差す。
「ほら、ここにもチョコレートフォンデュあるよ。私達も取りに行こっか」
とろとろと流れる滝のようなチョコレートを見て、わくわくしながら言う私に、彼も「そうですね」と頷いて微笑んだ。
席を立つと、並んで歩き出す彼がふと足を止めて私を見つめる。キョトンとして私も見つめ返すと、眼鏡の奥の瞳が柔らかく細められた。
「ずっと思ってたけど……あの時に見た女の子、明穂さんに似てた気がするんですよね」
──ドキン、と胸が鳴った。
あの時に運命の出逢いを果たしていたのかも、というかすかな期待が、今また浮上してくる。
「そんなことありえないけど。好きだからそう思うだけかな」
軽く言いながら、私の手を取る彼。笑みがこぼれる私は、胸が躍り出すのを感じながら、ぎゅっと手を握り返した。
──あなたが見たのは、本当に私だったのかもしれないよ、と後で伝えよう。
どんな表情を見せてくれるだろう。驚くかな。
でも、たとえ無愛想でも、きっとたくさんの幸せを私に与えてくれるはず。
それが、彼なりの糖度高めな愛し方だから。
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