無愛想で糖度高めなカレの愛
いくつか食材をカゴに入れた後、お酒コーナーに差し掛かる。
彼が好きだった琥珀色の液体が入ったボトルをなんとなく眺めていると、隣に河瀬くんがぴたりと寄り添うように立った。
「明穂さん、ウイスキー飲めるの? 飲みたければ買いましょうか」
私の目線の先にあるボトルを見て言う彼に、慌てて首を横に振る。
「あ、ううん! 昔の……知り合いがコレよく飲んでたなと思って。私はやっぱりビールかなー」
そそくさとビールが並ぶ方へ移動すると、河瀬くんは「じゃあ、俺も」と言い、ふたり同時に同じ缶ビールに手を伸ばす。
手が触れそうになり、一時停止する私達。
恋愛ドラマのベタな出逢い方みたいなシチュエーションに、私は吹き出してしまった。
どうやら彼も私と同じビールが好きらしく、これは麦芽百パーセントだからキレと風味が良くてどうのこうのと、うんちくを語ってくれて。私はそれにあいづちを打ちながら笑う。
ただ話を聞いているだけで楽しかったし、いつの間にか昔のことはすっかり頭から抜けていた。
別の人といる時に、元カレのことを思い出す自分には嫌気がさす。
でも河瀬くんといれば、あの人の記憶が薄れていくかもしれない。
新しい恋を始めることができるかもしれない──と、なんとなく思い始めている自分がいた。
彼が好きだった琥珀色の液体が入ったボトルをなんとなく眺めていると、隣に河瀬くんがぴたりと寄り添うように立った。
「明穂さん、ウイスキー飲めるの? 飲みたければ買いましょうか」
私の目線の先にあるボトルを見て言う彼に、慌てて首を横に振る。
「あ、ううん! 昔の……知り合いがコレよく飲んでたなと思って。私はやっぱりビールかなー」
そそくさとビールが並ぶ方へ移動すると、河瀬くんは「じゃあ、俺も」と言い、ふたり同時に同じ缶ビールに手を伸ばす。
手が触れそうになり、一時停止する私達。
恋愛ドラマのベタな出逢い方みたいなシチュエーションに、私は吹き出してしまった。
どうやら彼も私と同じビールが好きらしく、これは麦芽百パーセントだからキレと風味が良くてどうのこうのと、うんちくを語ってくれて。私はそれにあいづちを打ちながら笑う。
ただ話を聞いているだけで楽しかったし、いつの間にか昔のことはすっかり頭から抜けていた。
別の人といる時に、元カレのことを思い出す自分には嫌気がさす。
でも河瀬くんといれば、あの人の記憶が薄れていくかもしれない。
新しい恋を始めることができるかもしれない──と、なんとなく思い始めている自分がいた。