無愛想で糖度高めなカレの愛
「元々は兄が住んでて、就職する時に入れ代わったんです。家賃もミツコさんが少しだけ安くしてくれてるんで」

「そうなんだ……!」


河瀬くんにお兄さんがいるなんて知らなかった。

今日は新しい発見ばかりだ。距離が急激に近付いたのだから、当然なのかもしれないけれど。


……もっと知りたい。

私だけが知っている彼の情報を、もっと増やしたい。

そんな欲求が湧いてきて、さっそく調理を始める彼の隣に歩み寄った。

スーツの上着を脱ぎ、ワイシャツを腕まくりしてキッチンに立つ姿も、言わずもがな素敵だ。


「お兄さんは何をやってる人なの?」


私も何か手伝うために、とりあえずシンクを借りて手を洗いながら問い掛けると、彼はテキパキと玉ねぎの皮をむきながら答える。


「システム会社でプログラマーとして働いてます」

「やっぱり理系兄弟……」

「言うと思いました」


あははと笑う私に、淡々と作業をこなす彼も質問をしてくる。


「明穂さんの妹さんは何歳ですか?」

「二十ニなの。短大だったから前から働いてるんだけどさ……」


そんなたわいない話をしながら、河瀬くんは手際良くハンバーグのタネを作っていく。

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