無愛想で糖度高めなカレの愛
●濃厚なキスとシェリーに酔わされて
──四年前のクリスマス。
恋人となってまだ三ヶ月ほどの、二歳年上の彼氏とディナーを食べている最中、突然こんなことを言われた。
『明穂となら、結婚してもうまくやれそうだな』
一瞬、耳を疑った。こんなに付き合ってすぐ、“結婚”だなんて単語を彼の口から聞けるとは思わなかったから。
驚きで目を丸くし、メイン料理のお皿から彼へと目線を上げると、セクシーさを感じる薄い髭の下の唇は、ゆるりと弧を描いていた。
プロポーズと言えるほどたいそうなものではない。ただの軽い気持ちで言っただけかもしれない。
でも嬉しかった。そう思ってくれたことが。
この時のデザートがとびきり美味しく感じたのは、きっと私の幸せな気持ちがスパイスになったせいだ。
緩いうねりのあるミディアムヘアに、口元の髭、精悍な顔立ち。
そのワイルドでセクシーさも兼ね備えた外見から、彼はとても人気があった。
女性の扱いが上手で、甘い言葉を何の恥ずかしげもなく口にする。
仕事もできて、頼りがいがあって、包容力もある。
そんな、女なら放っておかないであろう存在の彼は、私の高校時代の憧れの先輩でもあった。
当時から、他の男子とはどこか違う空気感を放っていたっけ。