無愛想で糖度高めなカレの愛
* * *
「……っていう、遊び慣れてる男に尽くしちゃってたバカな女なのよー私は!」
ワイングラスを片手にあははっと笑い、河瀬くんが常備しているというシェリー酒をゴクリと喉に流した。
料理はすべて美味しくいただき、今テーブルに置かれているのは、勉強のためにさっきスーパーで買った濃厚な生チョコ。
これと甘口のシェリー酒の相性が絶妙で、酔いが回った私は気分良く……いや、開き直って元カレの話をぶちまけたのだった。
「とんだ色男だったわ。ま、惚れ込んでたのは確かなんだけどねー……。ほんと、笑っちゃうでしょ」
石畳のような四角いショコラをひとつ摘み、ぽいっと口に入れて、渇いた笑いを漏らした。
舌の上でとろける濃厚な味を堪能しつつ、横目で河瀬くんを見やるも、やっぱり彼は無表情。
「……こういう時くらい笑いなさいよ」
「無理です」
ツンツンと肘で突いてみても彼はしれっとしていて、私はムッとむくれる。けれど。
「明穂さんは真剣に恋してたのに、笑えるわけないじゃないですか」
そんなふうに言われて、ムッとしていたのが一変、急に涙腺が緩みそうになった。
だから笑い飛ばしてほしかったのよ……泣きたくなっちゃうから。