無愛想で糖度高めなカレの愛
「誰がそんなこと言ってるんですか」


呆れたように小さくため息を吐き出され、噂を鵜呑みにしていた私は、ちょっぴり罪悪感を覚えた。


「俺だって男なんだから、恋もするし欲情もしますよ。何の下心もなく、家に誘ったりなんてしない」

「や、やっぱり下心あったんだ……」

「当然」


きっぱり言い切った夕浬くんは、苦笑いする私の手を取り、指に口づけた。

そのまま流し目を向け、さらにドキリとさせられる。


「でも、欲情するのは明穂さんだけだけど」


その言葉は恥ずかしくもあり、嬉しくもあった。

あまり感情を露わにしないこの彼が、私なんかに好意を抱いて、欲情してくれるなんて。

少しの優越感みたいなものまで得られる。


キスも、肌に触れる手も、驚くほど心地良くて、私は自然と彼の首に腕を回していた。

柔らかな黒髪に触れていると、スカートをまくり上げる彼の手が、ストッキングの上から太ももを撫でる。


「やっ……あ」


首筋にも口づけられ、くすぐったさと快感が混ざって恥ずかしい声が漏れてしまう。

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