無愛想で糖度高めなカレの愛
でも、息は上がる一方なのに思いのほか瞼が重くて、刺激を与えられなくなったらすぐにでも落ちてしまいそうだ。


「……眠そうですね」


私がずっと目を閉じているからか、睡魔に負けそうなのを見抜いた夕浬くんは、首筋に埋めていた顔を上げて言った。

重い瞼を押し上げると、たまらない色気はあれど、感情が読み取りにくい無表情の彼がいる。


「へーき、だよ」


そう答えたものの、正直起きていられる自信はない。虚ろな瞳で言っても説得力もない。

どうしてなの私……今の状況に興奮しているのは確かなのに、何で寝ちゃいそうなのよ……。

自分の神経のず太さと、飲み過ぎてしまったことを恨んでいた、その時。


「ベッドに行きましょう」


そう囁いてすぐに起き上がった夕浬くんに、有無を言わさず身体を抱き上げられた。


「ひゃ……っ! やだ、重いよ」

「もっとチョコ食べて太った方がいいくらい軽いですよ」


涼しい顔でそんなことを言いながら寝室へ運んでくれる彼だけど、私はめちゃくちゃ恥ずかしい。

お姫様抱っこなんて、いまだかつてされたことないし……!

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