無愛想で糖度高めなカレの愛
怪訝な目で彼女を見やる私。

さっき食べたラムレーズンのチョコレートに入っていた洋酒のせいで酔ったの?

なんて、お酒が強い美結ちゃんにはありえないことを思っていると、彼女は私に顔を寄せてコソッと言う。


「先輩も何かプライベートで変化があったんでしょう?」

「えっ」


ギクリとする私を見て、美結ちゃんはニヤリと口角を上げる。


「当ててあげます。ずばり、オトコですね!?」

「えぇっ!?」


ついすっとんきょうな声を上げてしまい、がやがやと話していた皆の視線が私に集中する。

その中にはもちろん、私の斜め向かいに座る、ハーフリムの眼鏡に白衣姿の夕浬くんも。

彼と目が合ってドキッとしつつ、皆に「ごめんなさい、何でもないです」と謝り、笑ってごまかした。

美結ちゃんは素知らぬふりで、あははっと呑気に笑っている。


「ほら、その反応は大正解だ」

「ななな何で……!?」

「毎日近くで見てれば一目瞭然ですよ。最近さらに綺麗になった気がするし、“ある人”を見る目とか態度がちょっと違うし~」


うそ、まさか相手が夕浬くんだってことにも気付いているの!?

両頬に手をあてて動揺する私を、美結ちゃんはニヤニヤしながら面白がっているようだ。

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